過去

それまで二人は　いつもネット上のハンドルネームと呼ばれるもので呼び合っていた。もっとも　私は本名にかなり近いものだったので　違和感はなかったのだけれど・・・
彼は？
知っているのはメールアドレス・携帯の番号・・・
　ふと、あることに気が付いた。
「もし、どちらかが　事故にあったりして　この世から消えてもお互いに　気が付くこともないんだね。たとえニュースに出ても　本名すら知らない・・・。」
　今さらなんだか　おかしいねって言いながら、お互いの情報を交換した。
　また、少し彼が現実に近づいた気がした。

彼から　宅配便が届く。
何気なく話した　「今欲しいモノ」　
彼が買って送ってくれた。（あとで　偶然値段をしって　本当にびっくりした！）
彼からプレゼントを貰ったことも　うれしかったけれど、宅配便が届く・・・現実に彼の存在を確認できたようで　彼の書いた宅配便の伝票をいつまでも見つめていた。